2025年ニュージーランド林業視察研修報告 ~視察3日目 伐採現場編~

イベント・取り組みトピックス

2025年11月、海外の林業の取組から学び、今後の事業運営に活かすことを目的として、組合企画による初の海外林業視察研修を実施しました。

11月12日(水)視察先⑦ カハロア伐採現場

ロトルアから約20kmほど離れたカハロア地区にあるポート・ブレイクリー社(大規模私有林を持つ林産企業)の伐採現場を訪れ、ワイヤーサポート式テザーシステム(Traction Line System)による急傾斜地での伐採作業を視察しました。この伐採方法は、急峻な地形においてフェラーバンチャ(伐倒機)の安定性を確保し、安全に伐倒作業を行うために導入されています。

1.テザーシステムの仕組み
現場では、斜面上部に設置されたベースマシン(ウインチ搭載機)が、フェラーバンチャを常時牽引してサポートしていました。特徴は以下のとおりです。
▶ ワイヤーによる常時テンション保持
・ウインチは常に最適な張力を探し続けるようプログラムされており、オペレータが細かく調整する必要がない。
・フェラーバンチャが前進・後退する方向を自動認識し、必要な牽引力を自動で制御する。
・泥地や滑りやすい場所でも、機体が停止してしまわないよう補助し、作業の安全性と安定性を確保。

左 ベースマシーン、右 フェラーバンチャ


▶ ワイヤー長の自動計測
・ドラム(巻胴)の回転数をカウントし、放出したロープの長さをメートル単位で自動算出。
・各層の巻き量も計算しており、過巻き・緩みが発生しないよう管理されている。
▶ 遠隔操作(無人ウインチ運転)
・ウインチ側のベースマシンには通常オペレータは乗車せず、フェラーバンチャ側から無線で操作できる。
・ウインチ側は作業中ほとんど移動せず、安全な位置から一貫して機体を牽引していた。

ベースマシーン

3.使用機械とメーカー構成
このテザーシステムは「Woodsman」ブランドの伐倒ヘッドを装備したフェラーバンチャと組み合わせて運用されていそうです。

4.ケーブル配索の工夫
・ワイヤーは追加のローラーやシーブ(滑車)を極力使わず、ドラムから直接伸びる構造を採用。
・ローラーとワイヤーが摩耗しやすいため、この方式は長寿命化とメンテナンス性向上に寄与している。
・ワイヤーがブーム(アーム)に干渉しないよう設計されており、斜面での安定した張力維持が可能となっている。

5.安全性への配慮
・テンション(張力)は0〜20トンの範囲で選択でき、現場の斜度や地表条件に応じて最適化される。
・常に「ポジティブテンション(張力を常時一定以上に保つ)」で運用され、ワイヤーの緩みによる事故を防止。
・作業は完全に自動化されたテンション管理により、オペレータの負担軽減と安全性向上が図られていた。
・開発においては、いかにリアルタイムでポジティブテンションを共有できるかにかかっている。

ベースマシーン後方に埋められた安全装置、地面から抜けるとベースマシーンが自動で緊急停止

今回のカハロア現場では、急峻なニュージーランド特有の地形でも、安全かつ効率的に伐採を進めるためのテザーシステムの高度な活用が印象的でした。ワイヤーのテンション管理を自動化し、ウインチを無人化することで、安全性と生産性の両立を実現しています。

11月12日(水)視察先⑧ HELL’S GATE(ヘルズ ゲイト)

ロトルアにある HELL’S GATE は、ニュージーランド先住民マオリが所有・運営する特徴的な地熱観光地です。敷地内には、噴気孔や硫黄泉、泥の沼などが点在し、活発な地熱活動を間近に見ることができます。

活発な蒸気噴出や泥沼などの地熱環境と、隣接する森林への影響について説明を聞くことができました。
高温や硫黄成分を含む特殊な土壌条件により、地熱周辺では生育できる樹種が限られ、森林の境界がくっきりと分かれているのが特徴的です。地熱の強弱に応じて植生が段階的に変化しており、通常の植林地帯とは異なる環境であることを見ることができました。

地熱活動が活発なエリア
緑豊かな森林エリア

湯気が立ち上がる荒々しい地熱地帯と、緑豊かな森林が同じ敷地内で対照的に広がっています。

シルバーファーンの葉 表
シルバーファーンの葉 裏

シルバーファーンは、ニュージーランドを象徴する植物で、ラグビーチームのオールブラックスのエンブレムにも使われています。葉の表は緑色ですが、裏は銀白色をしているのが特徴です。

かつて先住民マオリは、この性質を利用し、葉を裏返して目印とすることで、夜道での道しるべとして活用していたといわれています。

2列目左端に立つのは、伐採現場を見せていただいたPort Blakely社現場責任者のPatさん、彼がいなければ現場は一切立ち入り禁止。無人化を目指しているのだから、当然といえば当然。
2列目右端(オレンジのシャツ)は、カンタベリー大学のパトリックさん。酒井先生を介してスケジュールの調整および現地アテンドをしてくださいました。
パトリックさんの後ろに写るのは、前日訪問したFGR社のキース氏。お忙しいところ来ていただきました。

We would like to express our sincere gratitude to everyone who supported us.

2026年4月2日

2025年ニュージーランド林業視察研修報告 ~視察4日目 ワイポウア・フォレスト編~ へ続きます