2025年ニュージーランド林業視察研修報告 ~視察2日目ロトルア編その2~

イベント・取り組みトピックス

2025年11月、海外の林業の取組から学び、今後の事業運営に活かすことを目的として、組合企画による初の海外林業視察研修を実施しました。

ロトルアは、広大な人工林と研究機関を背景に、森林資源の育成から利用までを体系的に展開する、ニュージーランド林業を代表する地域です。

11月11日(火)視察先⑤ SCION

SCION(正式名称:The New Zealand Forest Research Institute Limited、ニュージーランド森林研究所)は、ラジアータ・パインを中心とした森林資源の活用、木材加工技術、バイオマテリアル、循環型産業の森林研究とバイオエコノミー分野を担う国立研究機関です。

SCION正面玄関 – 自然を感じさせる三角デザイン、漢字の「山」に見えませんか!?


SCIONにはマオリ語の正式な別名があり、それが「Te Papa Tipu」、直訳すると「成長の場所/育つ場所」という意味でマオリ文化を重視し、森の成長・研究・イノベーションを象徴する名前として付けられたそうです。

Te Papa Tipu のサインが印象的な入口

まずは、木材利用の可能性と耐震技術を融合した象徴的な建築物(国際的なデザイン賞を12受賞)についての説明を受けました。

1.高度な耐震設計
・建物全体が免震構造により地震時の揺れを吸収する仕組みを採用。
・床にも木材(CLT)が使用されており、床下に配された装置が振動エネルギーを吸収する。

2.木材利用の最大化(CLT+大断面集成材)
・建築設計は「木材を最大限に使うが、使用量は最小限に抑える」というコンセプトに基づく。
・大断面の集成材とCLTを組み合わせた構造で、ダイヤモンド型のブレース配置が効率的な強度を生み出している。

効率的な強度を生むダイヤモンド型ブレースとCLTの組み合わせ

3.デザインとマオリ文化の融合
・建物が立つ土地は、元来マオリの部族(iwi, hapū)が所有していたもので、その背景を尊重した設計。
・天井デザインはラジアータ・パインの遺伝子配列(ゲノム)をモチーフとしている。
・照明はマオリの新年を象徴する星座「Matariki(日本でいうスバル/プレアデス星団)」をイメージして配置されている。

マオリ文化を尊重し、ラジアータ・パインの遺伝子配列と星座Matarikiを象徴


4.カーボンストックと資源効率
・この建物で使用された木材量は、ニュージーランド全体の森林が約30分で成長する量に相当するとのこと。
・長期間の炭素貯蔵効果があり、解体後の再利用も想定した設計となっている。

次に、ニュージーランドの植林地における林地残材の活用とバイオエネルギーの可能性について説明を受けました。

1.木質バイオマスが注目される理由
・森林は大規模で長期安定供給が可能なエネルギー資源。
・気象条件に左右されないため、風力・太陽光・水力のように発電量が変動しない。
・熱利用・発電・液体燃料の製造など、多様な用途に対応する「蓄積されたエネルギー」である。


2.植林地はNZ最大のバイオマス資源
・ニュージーランドでは植林地が最大のバイオマス資源であり、今後も最も成長が期待できる分野。
・伐採後に発生する枝葉や上部折損材などの「残材」が利用対象となる。


3.バイオエネルギーが重要視される背景
・ニュージーランドは地理的に孤立しており、外部からのエネルギー輸入は限定的。
・天然ガスは自国内で賄っているが、既存ガス田の生産量が2024年をピークに減少すると予測されている。
・国としては、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を進めており、バイオマスがその一翼を担う。

11月11日(火)視察先⑥ レッドウッド森林公園

SCIONに隣接するレッドウッド森林公園を散策。
レッドウッド森林公園は、ロトルアにある代表的な森林公園で、レクリエーション利用と森林管理が両立している事例であり、かつての試験林から始まり、現在は地域の観光資源ともなっています。

ニュージーランドでの造林・育林技術の研究対象にもなってきた外来樹種 カリフォルニアレッドウッド(セコイア)の植林地で、樹高の高さや幹の太さなど、長期的な生育ポテンシャルを実際に体感することができました。
特に、大径木が立ち並ぶ林内は圧倒的で、同国の豊かな森林資源の可能性と、長伐期施業によって実現される樹木の成長量を目の当たりにしました。

巨木の大きさを実感
このぐらいの太さ!

短時間の散策でしたが、ラジアータ・パインとは異なる樹種の特性を現地で実感でき、樹種選択や将来の森林造成の多様性について考える良い機会となりました。

2026年2月18日

2025年ニュージーランド林業視察研修報告 ~視察3日目 伐採現場編~ へ続きます