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林業・木材講座7 カイガラムシ類による広葉樹被害 最近、全国的に広葉樹の異変が進行している。 夏に突然に葉が茶色になって落葉してしまう(写真1)現象で、主に関西地方以西で発生していたが、最近関東・東北地方にも拡大している。 被害には、カツラマルカイガラムシ、ナラフサカイガラムシ、カシノナガキクイムシの三種類の虫が関与していることが分かっている。 岩手県内では、このうち前二種類による被害が確認されている。 被害状況は、二種類ともほぼ同じで、茶色になった葉は季節はずれの落葉をし、その後太い枝や幹から小さい枝が発生(胴吹き)し、特徴的な症状(写真2)を呈する。 激しい被害を受けた樹木は枯死する場合もあるが、多くは翌年に胴吹きした小枝に葉が茂げる(写真3)が その後被害木が枯死するのか、快復するのか、どのような経過をたどるのかは分かっていない。 カイガラムシの仲間は、全身を貝殻のような介殻(ようかく)で覆っており、その中で口針を樹皮に射し込んで樹液を吸う。 カツラマルカイガラムシは、コナラ、ミズナラ、サクラ類、ホオノキ、クリ、カツラなど極めて多くの広葉樹に寄生する。 被害は平成22年現在で岩手県の紫波町、矢巾町以南で確認されている。 本種は、以前からクリ園の害虫として知られており、防除法も開発されているが、今回のような山地での集団的・広域的な発生はなかった。 ナラフサカイガラムシは、コナラやミズナラに寄生し、被害木はカツラマルカイガラムシと同様の症状を呈する。 最近、岩手県内各地で発生が確認されたが、同じような症状を呈するナラ類は以前から観察されていた。 両種の被害が、今後どのように推移するのかは不明であるが、まずは、被害の実態を把握することが肝要である。 (写真は岩手県林業技術センター提供) |
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![]() 写真1 夏の異常落葉 |
![]() 写真2 枝葉の再生(胴吹き) |
![]() 写真3 翌年の様子 |
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![]() 写真4 カツラマルカイガラムシ |
![]() 写真5 ナラフサカイガラムシ |
![]() 写真6 ナラフサカイガラムシ |
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(図・写真提供:佐藤平典氏 無断転載を禁じます) |
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