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林業・木材講座21 凍害 低温によって樹木の形成層(甘皮)の組織が破壊される被害であるが、通常、土着の樹木に凍害が発生することは無い。樹木は、秋から冬に向けて低温に遭うことによって細胞内の糖度が徐々に増えて凍りにくくなり、厳冬になればアカマツは氷点下30℃、スギは氷点下25℃にも耐えるようになる。 厳冬期に樹木の幹が凍って、鉈の刃が跳ね返される経験をすることがあるが、このような木でも形成層の生きた細胞が凍らなければ凍害は発生しない。しかし、十分に耐凍性を獲得しない状態で異常な低温に遭えば生きた細胞までが凍結する。 細胞内部の液体が凍結すれば細胞は破裂して死亡し、その部分の生長が停止する。これが凍害の原因である。この現象は春の気温上昇によって耐凍性が低下した状態で低温に遭っても同じ現象が発生する。 岩手県ではスギ幼齢木に発生することが多いが、被害部分は幹と樹皮が分離しており、樹皮がはがれていることが多い。幹表面は褐色に変色しており、これが扇状に幹の内部にも及ぶ(凍傷痕)が、根は健全である。 スギ植栽木でよく見られるこれとよく似た病害虫との違いは、次のとおりである。コウモリガによる被害では材の中心部に幼虫が寄生した孔道がある。ナラタケ病では樹皮下に白い菌糸がみられ、根まで腐っている。ノウサギ・ノネズミの食害では被害部に歯の跡がある(写真3)。 被害部分が幹を一周すれば樹木は枯れるが、一部の場合は健全部からの癒合組織によって傷口を巻き込んで生長を続ける(写真2)。このような被害木は、風や雪圧によって被害部から折れることが多く、生長によって巻き込んでも、変色や腐朽部が拡大して木材としての利用価値が大きく損なわれる。 |
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![]() 写真1 被害部の凍傷痕 |
![]() 写真2 被害部の経過 |
![]() 写真3 動物による食害痕 |
| (図・写真提供:佐藤平典氏 無断転載を禁じます) | ||