林業・木材講座18 風害

 強風による倒伏(写真1)、枝折れ(写真2)などの被害である。 多くは台風に伴う強風によって起こるが、竜巻によって比較的狭い地域で発生する場合もある。

①街路樹・公園などでの被害
 道路や公園などで発生する被害は、樹木そのものよりも、人や建物あるいは交通に対する影響が大きく取り扱われることが多い。
 発生原因は強風に加えて人為によって樹木のバランスが崩れている例が大部分である。 たとえば、極めて狭い植穴で根が萎縮している街路樹、工事に伴って片側の根が切断された庭園木、 根元が踏み固められて根が衰弱している大木、根の腐朽が拡大して幹が空洞になっている観光地の樹木(写真3)など、ほとんどが人為によるものである。

②林地での被害
 健全な状態の林地で風害が発生することはほとんど無いが、 特に大型の台風や竜巻によっては集団的な被害が発生することがある。
 昭和29年の洞爺丸台風によって北海道で大規模な風倒被害が発生し、この被害木処理のために木材産業が立ち上がったことで知られている。
 岩手県内でも、昭和56年の15号台風では、各地のキリ植栽地(写真4)やクルミ園で被害が発生した。 スギやアカマツ造林地でも被害が発生することがあるが、多くは竜巻が原因と思われる限定した地域の被害である
 昭和36年の三陸大火の折には火災に伴う強風によって大木が倒伏した記録(写真5)もある。

③被害木の利用
 被害木の強度性能は、カラマツではほとんど影響がないことが分かっている。 一方、スギやトドマツでは、繰り返される曲げ応力によって、組織の破壊「もめ」が生じる。 また、岩手県内では、スギに年輪に沿って組織が剥離する所謂「目まわり」(写真6)が生じている例があった。
 
倒伏した広葉樹エゾヤマザクラ
写真1 倒伏した広葉樹
エゾヤマザクラ
枝折れした広葉樹オニグルミ
写真2 枝折れした広葉樹
オニグルミ
倒伏したスギ巨木
写真3 倒伏したスギ巨木
幹が空洞になっている
幹折れしたキリ
写真4 幹折れしたキリ

  
倒伏したアカマツ
写真5 倒伏したアカマツ
山火事に伴う強風
スギの目まわり
写真6 スギの目まわり
年輪に沿った剥離
(図・写真提供:佐藤平典氏 無断転載を禁じます)